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リーダーのためのブログ

2017.02.22

協創の現場から人材戦略・人材開発

新入社員の定着率を上げるには?

 新入社員の「働く目的」は変化している。

 『平成25年度厚生労働白書』によると、2000年度以降「楽しい生活をしたい」と答える割合が大きく上昇し、2012年度には最も高い割合となり、逆に「経済的に豊かな生活を送りたい」とする者の割合は低下傾向にある。

 経済的な側面よりも自分自身が「楽しく」生活できるかどうかを重視している。また「社会のために役立ちたい」とする人の割合は、2000年度以降上昇傾向にあり、仕事を通じ社会に貢献していきたいと考える人が増えている。

 私たちは、若手の人材開発に関わる中で「何故辞めてしまうのか」ということよりも「何故働きたいのか」ということに焦点をあてた取り組みを大事にしている。「働く目的」を自ら見出し、「働く意義・価値」を実感しながら仕事に取り組める状態を早期につくりあげられるよう、私たちは近年アプローチを変えている。職場のOJTを支える、ある会社の人材開発部署での新人フォロー教育の事例と共に紹介したい。

 一つは、「働くことそのものに自らモチベーションを感じる状態」をつくること。

 そのためには、「教える」「評価する」という外からのアプローチではなく、「自ら決め、学び、行動する」状況を仕事そのものや職場生活の中に多くつくり、周囲はそれに力を貸すことが大切だ。

 例えば、フォロー教育の事前課題では「会社で取り組んでいる小集団活動について調べる」というお題を出したが「意味や活動内容そのもの」を調べるのではなく、「他支店とは違う『自支店の良さ』は何なのか」など、新入社員自身が「知りたい」と思うことを決め、調べ、周囲はその動機に対して力を貸してもらうようにした。

 当日はそれを新入社員同士でプレゼンするのだが、方法も自分で考えてもらった。それぞれクイズにしたり、寸劇にしたりなど工夫を凝らした演出で、見る側も楽しみながら真剣に聴いていた。

 もう一つは、「この会社にいる意義が感じられる状態」をつくること。

 「会社としての価値観・考え方や判断基準」である「理念」について、その背景や歴史を知るだけでなく、自分の日常の仕事や職場生活から折に触れ実感し、確認することで、自分の価値観として育まれることが重要だ。

 集合形式のフォロー研修では、職場の中での理念の実践について発表をした。自分の経験だけでなく、自分と似たような経験をしている他メンバーの発表からも共感的に学ぶことができ、取り込まれる幅が広がっているように感じられた。

 参加した新入社員からは「先輩に『もっとこうした方が、職場が良くなるのに』と意見をすることが結構ある」「意見をすると自分がやることになるが、自分が行動して、うまくいってもいかなくても結果を得られるのは面白い」という話を聞き、健全な自己主張が育まれている良い変化と受け止めた。

 結果としても、この会社では1年目の定着率が大幅に改善している。

 辞めさせないためのリスクマネジメントでなく、自ら働くことの目的・価値を拡大していける環境づくりが、人材開発部にも、職場にも求められている。


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「いまどきの若手社員」の育て方【前編】
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馬場 英博

この記事の執筆者

馬場 英博

コンサルタント
専門分野:人材育成