LEADERS BLOG

リーダーのためのブログ

2013.09.18

協創の現場から人材戦略・人材開発

「いまどきの若手社員」の育て方【中編】 

「社会人らしさが身につかない」
「いくら教えてもミスが絶えない」社員をどう指導するか? 

前回に引き続き、「いまどきの若手社員の育て方」をテーマに、今回は直接的なアプローチであるOJTの方法について考えていきます。若手社員の育成にあたる、指導社員の悩みや不安に対処するために、管理職が支援できることとはどんなことなのでしょうか…

 

-そもそも管理職が直接、若手社員の指導に関与する必要性はどんなところにあるのでしょうか?

 

「管理職なのだから、新入社員の指導育成は直接の指導社員(若手の先輩社員が担うインストラクターなど)に任せておいた方が新入社員自身も安心するのではないか?」。このように思われる管理職の方々が多いかもしれません。
けれども、私が「指導社員研修」等でお会いする指導社員の悩みや不安を聞く限り、管理職の方々が直接若手の指導に関与した方が効果的な状況も存在すると感じることがあります。

-具体的に指導社員にはどんな悩みが多く、管理職としてのどんな支援のあり方が望ましいのでしょうか?

◆指導社員の悩み~其の壱◆ 
「社会人らしさが身につかない」

 一番多いのが、社会人としての基本姿勢についての悩みです。
先日、ある会社さまの指導社員研修の一コマで次のような質問がありました。

 「新入社員の指導を行う中で悩んでいることが、仕事以前に社会人としての基本姿勢が身につかないことです。
例えば、元気に挨拶するとか、メールで用件を送った後に一言電話でも伝えておくとか、退社時にさっさと帰らずに周りを見て手伝えることを探すとか…。
要するに『気が利かない』んです。どのように指導すればいいんでしょうか?」 

 このような質問に遭遇することが最近あまりにも多いので、社会人らしさ、あるいは自社らしさについて「何を教えたいか」を指導社員の方に確認してみました。
  すると、自分が知っている実務内容について教えることには積極的でも、社会人らしさや自社らしさなど、「感覚的で曖昧なもの」を教えることについては意見が少ないのです。従って、指導計画にもそれらに対する指導内容がほとんど織り込まれていません。

-これは、指導社員自身が、社会人らしさや自分たちの会社らしさについて分かっていないということでしょうか?

 そういう面もあるかもしれませんが、どちらかというと実際に言葉に出してみたり、他の人と共有する機会がなく、指導社員の理解が促進されていないというのが正確だと思います。
 もし、3ヵ月経っても、半年経っても、「らしさ」について指導の兆しが見えない場合は、管理職自身が新人に歩み寄り、範を示すタイミングだと思います。

「ウチの会社は人が商品であり、プロ集団である。だからこそ、自分自身に磨きをかけることも仕事である。学校同様、社会でも学ぶことをやめてはならない」
「ウチの会社はお客さまと泥臭く密着した人間関係を築いてきたんだ。でもこれからは若くとも常に頼られる知恵とアイデアを持たないといけない。昔に比べて決して楽ではないけど、スマートさと考え抜く力を磨き続けてほしい」

 上記は実際に若手向けの研修で、管理職以上の方々がメッセージとして伝えていたことです。
 管理職の肉声を通して、若手社員のみならず指導社員自身が「『らしさ』を教えることは難しいことではなく、職場生活で自分が素直に共感していることを伝えれば良いのだ」と、気づくキッカケになるのではないでしょうか。

◆指導社員の悩み~その弍~◆
「いくら教えてもミスが絶えない」

基本姿勢と同じくらい多い悩みが、仕事上のミスの話です。
先日、ある研修の場面で次のようなやり取りを耳にしました。
「業務の流れを形にしてチェックポイントを明らかにして、可能な限り仕事を『見える化』させています。でも、応用が利かなくて、不測の事態が発生するとどのようにすべきか分からなくなる」
「それならまだマシ。私のところの部下はチェックそのものを怠ってしまい、業務の流れどおりに仕事ができない。責任感がないのかもしれないし、目的が分かっていないのかもしれない…」 

-なるべく仕事の目的や内容をわかりやすく伝えようとする工夫と、工夫しているからこそ、理解されない指導社員の方のもどかしさを感じますね。

 そうですね。ミスを発生させる原因はさまざまであるため、社員それぞれに応じた対処を工夫されていると思います。けれども、実は業務を教える以前に指導しなければならないことがあり、それがなされていないがゆえに、多くの指導社員にとっての落とし穴になっている可能性があると強く感じていることがあります。

-業務を教える以前に教えるべきこととは、どんなことですか?

 「仕事の『やり方』を先に教えてしまい、仕事の『学び方』を教えていない」ということです。

 自分なりの学び方を何らか編み出したからこそ、誰もが一人前に仕事ができるようになっているはずなのに、学び方を身につけさせないまま、仕事を習得させることが100%優先されてしまうのです。これではミスも起きるでしょうし、基準以上の仕事ができるまでに時間もかかります。

 そしてもっと恐ろしいのが、日々学び考える習慣がなくなると、簡単な仕事はできても、より難度の高い仕事をマスターするのに時間がかかったり、自分らしい仕事ができたという実感を得られるまでにも時間がかかり、その結果仕事に対する自負心や責任感への芽生えが遅くなりやすいのです。

-確かにそうかもしれません。ちなみに、良い「学び方」というものはありますか?

  「失敗を恐れず、実践することからフィードバックをもらう」「頭の中で整理せず、言葉にして明らかにする」など、学び方は人それぞれにあります。
ただし短時間で効率的に、深く学べる術を知っている点が、経験豊富な管理職の重要な役割。管理職が若手指導で関与すべきは、自分の経験を伝えた上で、本人らしい学び方ができるように後押しすることだと思います。

 「人間は書くことで自分の考えを確かにできる。だから是非大きめの大学ノートを購入して実務の目的や手順、手続きを必ずノートにまとめなさい」
「業務日報で一日の仕事を報告しているが、疑問や気になったことが書かれてない。一日の終わりに指導社員や私と話す時間を5分でも設けて分からないことや聞きたいことを必ず解消するようにしよう」

  どんな学び方が本人に合うのかは分かりません。本人が上手に学べるようになるまでは、引出しをいくつか準備しておきましょう。

 さて、本来は2回シリーズを予定しておりましたが、次回も引き続き「『いまどきの若手社員』の育て方」について考えていきたいと思います。

この記事の執筆者

馬場 英博

コンサルタント
専門分野:人材育成