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リーダーのためのブログ

2017.12.27

人材戦略・人材開発

組織と社員の成長に結び付ける、教育体系策定のポイント

  ここ数年、外部環境の変化や社員のキャリアニーズの多様化など、様々な要請に応えるだけでなく、組織のビジョン・戦略の実現によりマッチした人材育成の仕組みが求められていることを実感します。

  しかしながら、多くの教育体系は、実施効率を考え、社員一律に求める能力や行動を可視化して、参加すべき研修機会を羅列しているだけに留まり易いのではないでしょうか。

  そこで今回は、教育体系を策定するにあたって、多様性ある社員の価値観・経験・能力・キャリアを最大限に引き出し、組織目標の実現に結びつけるために身に付けたい視点を紹介したいと思います。

 【教育体系策定にあたり、身に付けたい視点

①    「ゴール」としての人材目標でなく、「イメージ」としての人材像の明確化

 企業教育の最大の目的は、組織のビジョン・戦略・目標の実現をする人材の育成にあります。そして実現には、求める人材像を描くことがとても重要になります。しかし、求める人材像が「必達すべき能力や行動の要件」になるとチェックリストのようになり、社員には、息苦しさを感じさせるものになりかねません。求める人材像とは、「具体的な解釈は社員それぞれに任せるものの、方向性だけは合わせる」というベクトルのようなもの。社員が活躍するイメージを共有して、解釈を社員自身に委ねることが望ましいと考えます。

 

②    足りない能力を「埋める」だけでなく、身についた能力を「発揮する」機会の創出

  教育体系で最も分かり易いのが集合研修や通信教育です。それらの機会は、年次や階層に合せて、最低限身につけるべき教養としてラインナップしておかないと、日常のオペレーションやマネジメントに支障が出ます。通常、研修そのものは、「知らない」・「できない」という社員ニーズに応えるためには重要ですが、「知っている」「できている」社員ニーズを満たすことが難しい実態があります。そのため、研修でインプットして育てるという発想から、「計画的に、実地で能力発揮させ育てる」という発想を持つことが重要になります。例えば、経営トップへのプレゼンによる受注経験1回/年など、一定の年次が来たら、これまで蓄積した知識・技能を発揮して、やり遂げる機会を明確にしておくと良いかもしれません。

 

③    「教わった」経験だけでなく、「教えた」経験で確かにするプロセスの組み込み

  近年は、本社主導の研修では、現場ニーズとのミスマッチが生じるため、外部講師に頼らず、積極的に社員が講師になって研修実施を促す会社さまが増えています。「人は教える時に多くを学ぶ」。自分のノウハウを教える機会がセットされるからこそ、自分が分かる事と分からない事の分別がつき、また学び直すきっかけにもなり、学ぶ事の主体性が育ちやすくなります。

 私が過去に関わらせて頂いた、あるシステム会社さまでは、海外への販売展開にあたり、従来求められた人材とは異なる育成プロセスを明らかにするために、プロジェクトで教育体系とキャリアパスを見直しました。プロジェクトの過程で最も議論になったのが、教育内容そのものではなく「求める人材イメージ」と、「社員に積んで欲しい保有経験」でした。

 「社内や客先のみに通用するITプロフェッショナルという概念を越えて、自社を媒介に、広く社会で通用するタレントを育てよう」

「頂点となるシニアコンサルタントは書籍出版や講演経験も積ませる位の大胆さを持とう。それがウチの社員のロイヤリティを高めることにもつながるはずである」

このように、年次毎に求める保有経験を、シニア社員も交えながら明らかにしたことで、同社の昇格基準を明らかにすることにもつながりました。

 

 教育体系というと「何を教えるか」という内容に焦点があたりがちですが、「活躍する姿」や「学習プロセスそのもの」に着目してみると、できあがるものが変わってくるはずです。

馬場 英博

この記事の執筆者

馬場 英博

コンサルタント
専門分野:人材育成