LEADERS BLOG

リーダーのためのブログ

2013.09.25

協創の現場から人材戦略・人材開発

「いまどきの若手社員」の育て方【後編】

「共に育てる」姿勢を見せる管理職の支援とは?

前回に引き続き、教育現場で目にする指導社員の悩みを紹介し、若手社員のOJTにおける管理職の支援について紹介していきます。

◆指導社員の悩み〜その参◆
「若手育成に関して、『職場で育てる』といっても具体的な上司の巻き込み方がわからない」

最後は、育成に関する協力体制についての悩みです。ある指導社員は指導社員研修でこのようなことを言っていました。

「ウチの職場は私を含めて4名しかいない職場。しかも上司二人は社内でも大ベテランの人たち。仕事も縦割りなので、普段協力し合うことも少ないのに、上司に新人教育について相談するなんて全くイメージがつかない」
「新人は会社で育てるものだと頭でわかっているけど、実際に上司は忙しい人ですし、私自身も先輩社員としてしっかりしなくてはいけないので、依存せずに頑張らなくてはならない」

思い詰め過ぎてしまう方ほど、指導計画書を作成する段階で協力者に上司の名前が挙がらず、独り相撲を取ろうとする傾向があります。

-そもそも「上司を活用する」という仕事経験が少ない。そんな指導社員にはどんな声をかけたらよいのでしょうか?

「新人教育はあなたの仕事でなく、会社からあなたに任されている仕事。だから上司に報告し、時にはあなたにはない管理職の力を借りてみてはどうか」と伝えます。

それでも難しそうな顔をする指導員には、一つだけ上司に頼んでみるよう勧めることがあります。それは「新入社員に直接、次なる期待を伝えてもらうこと」です。
「期待を伝える」タイミングは、年初の目標面談や中間面談の時など公式的な場だけではありません。新人の成長度が上がった時、全く平行線で変わらない時も含めて、日頃気になったらタイミング良く伝えることを指します。

管理職は、タイムリーに職場目標の達成状況を把握でき、かつ客観的に若手の育成状況を把握できる存在。だからこそ、若手社員に次なるステージアップをタイミング良く伝えられるはずです。

-その際に留意することはありますか?

忘れやすいのが「できたことを評価すること」です。新たな課題や役割をドンドン提示するだけでなく、何ができるようになったかについて確認すること。

「この数ヵ月間一人で外回りしてようやく仕事が取れた。まだ早口は直さないといけないが、すでに自社商品を説明すること、見積もりを確認することはできるようになっており、きめ細かくフォローも怠らずお客さまから好かれている。次はお客さまの率直な悩みを聞けるようにしよう」。新しい入り口に立ったということは同時に、これまでのトンネルを抜けられたという事実を告げることでもあります。是非良きタイミングを見計らって期待と評価を伝えてみてください。

-逆に、期待に応えられていない若手社員にはどのように接しますか?

事実を伝えることだと思います。「営業で一人前になりたいと期初に言っていたが、今日の同行訪問で君は一言も話さなかった」「今日は客先でプレゼンしてもらったが、声が小さくてお客さまは君を見ず一人で黙々と資料ばかり読んでいた」。厳しい一言で折れてしまうことを気にしすぎず事実をフィードバックすることが、私は上司としての期待のかけ方だと思います。

私が担当させて頂いているある会社さまの中では、若手社員が退職する理由を正しく把握しようとヒアリングをかけているそうですが、退職理由の一つが「もっと上司から色々教えてもらえると思った」というもの。入社後、指導や良し悪しの評価をほとんど聞けなかったことが不満につながっていたことが分かったそうです。世代が違いすぎるから、と一歩引いてしまうのではなく、ぜひ直接関わってみてください。

-これまで紹介した3つのアプローチ(「自社らしさを伝える」「学び方を教えること」「期待と評価を伝えること」)を実行する上で管理職にとって重要なことはありますか?

OJTのベースは仕事を通して教えること。従って、管理職自身が仕事をどのようなものと捉えているかが重要です。

例えば、10月になると我が社では新人フォローの教育現場に赴くのですが、職場に慣れた様子に安心する反面、この頃によく彼らから聞く言葉で、ある仕事が「雑用」という言葉でくくられてしまうことに、何だか非常に悲しい気持ちになることがあります。指導社員が一堂に集まる教育現場でも「新入社員に雑用をふりすぎないようにしよう」という言葉が出ることもあります。

全ての仕事は必ず何らかの役に立っている、給料を頂いている仕事に序列はないと、頭では分かっているのに、我々は無意識に仕事に差をつけてしまい、難しい仕事は偉い人がやるもの、誰でもできる簡単な仕事は下の人間がやるものというコミュニケーションをとってしまうことがあります。特に若手社員が当たり前に、自分の仕事を雑用と捉えてしまっている現実に、私は近年何度も遭遇することがあります。些細なことかもしれませんが、まずは仕事そのものの価値を下げるのではなく、仕事の持つ意義や価値が高まるコミュニケーションが、全てのOJTの源泉ではないかと思います。

-本シリーズの最後に、管理職の皆さんにメッセージをお願いします。

まずは、会社や職場内で起きている育成の実態から管理職自身が目を背けないこと。
職場で起きているOJTの様々な問題を、むしろ包み隠さず、若手指導に関わる人間同士が問題解決すべき最高の教材に変えることも管理職の仕事です。若手社員を受け入れる前に現実の問題から自分たちらしい解決策を発見できれば、きっと会社や職場に世代の違いを活かした人材開発力が根付くと確信しています。


(終)

この記事の執筆者

馬場 英博

コンサルタント
専門分野:人材育成