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リーダーのためのブログ

2015.07.21

朝礼講話のネタ帳

矯正から協創へ~ゆとり&さとり世代のマネジメント~

 先日、ワールドカップカナダ2015を準優勝で終えた、なでしこJAPANは記憶に新しい。また一方で2018年開催のワールドカップロシアの2次予選真っ只中のサムライブルー。現在チームの中心となっている本田選手や長友選手、岡崎選手らはオリンピック時に結果を残せず「谷底の世代」と呼ばれていたこともある。年代の異なる宇佐美選手や柴崎選手、武藤選手は「プラチナ世代」と呼ばれている。

 この「○○世代」という言葉。企業の中でも入社年度で総称したり、特徴を名づけたりとニックネーム的に「○○世代」と呼ぶ会社も多いのではないか。

 私自身、人材開発の観点から、お客さまと会話し施策について企画~検証する機会が多い中で、よく出てくる世代は「ゆとり世代」と「さとり世代」である。「最近の若者は昔と違って何を考えているかよく分からない」「彼らとは価値観が違い、宇宙人に見える」などという声は、複数のお客さまの所で聴くのだから、「ゆとり&さとり世代の人材育成」は共通の課題と言える。最近、お客さま先でも、特に入社して数年が経ち、一定の知識やスキルは習得して戦力化しているメンバー、一見会社になじんでいると見えるメンバーが退社していくことが多く、歯がゆさを感じている。

 そんな中、「チームが機能するとはどういうことか―『学習力』と『実行力』を高める実践アプローチエイミー・C・エドモンドソン(英治出版)」という書籍で「リフレーミング」という概念を知った。

 「リフレーミング」とは、もともと認知心理学の概念であり、ある枠組み(フレーム)でとらえられている物事を、枠組みをはずし、違う枠組みで見ることを指す。たとえば、「テストの終了時間まであと5分」という事実を「もう5分しかない」ではなく、「あと5分もある」と捉えることである。今までの考えとは違った角度からアプローチしたり、視点を変えたり、解釈を変えたりし、意図的に自分や相手の生き方を健全なものにし、ポジティブなものにしていくことを目的としている。

 上述の書籍では、変革を進めていくうえでは、集団に起こる「暗黙の了解」を変えるリフレーミングを意図的に行っていくことが重要だと指摘している。外科医療の新技術を導入しようとした複数の医療チームのプロジェクト事例が紹介されていたが、プロジェクトの成否を分けたのは、やはりこのリフレーミングを適切に行えたチームであった。

 この新技術の運用には、外科医と、看護師等のスタッフとのチームワークが求められていたが、外科医はスタッフに対して絶対的な支配力を持つという従来の「暗黙の了解」にとらわれていたプロジェクトチームは、最終的にこの新技術の導入を断念する件数が多かったという。反対に、成功を納めたチームでは、「外科医とスタッフは相互依存の関係にあり、スタッフの存在は新技術の導入に欠かせない」と、外科医療現場にまつわる従来の考え方を見事にリフレーミングしていた。またその中で、成功にはリーダーの役割認識、目標設定が大きな影響をもたらすとともに、メンバー自身の「自分は成果を上げるうえでの必要不可欠な存在である」という「リフレーミング」も重要である旨に触れている。

 さて、御社では暗黙の了解としてしまっているフレーミングはないだろうか。

 例えば、変革を進めていく中で、若いメンバーを「欠かせないパートナー」と本気でとらえている度合はどのくらいだろうか。育成対象として保護し、指導すべき(矯正)ととらえすぎていないだろうか…。

 東京でオリンピックが開催される2020年にはこの「ゆとり&さとり世代」が会社の最前線にいる。先を見通すことが難しいビジネス環境の中で、「ゆとり&さとり」世代が価値を発揮するために、「矯正」から「協創」のリーダーシップへのリフレーミングが求められている。

 

渡邉 健

この記事の執筆者

渡邊 健

コンサルタント
専門分野:人材育成・組織開発