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リーダーのためのブログ

2017.07.12

エグゼクティブ・アイ

働き方改革

 「働き方改革」という言葉が色々な場所や書面で取り上げられている。その多くは、まさに働き方の「方」の話が多い。時間や場所に焦点をあて、フレックスタイム・テレワーク・リモートワーク・ノー残業デイ・早朝型勤務などの制度を導入している企業が年々増えている。

 国が総労働時間の短縮目標を掲げ、ワーク・ライフ・バランスを推進することを求め、企業もそれにならって様々な努力をし続けている中、超過勤務が大きな社会問題となり、「働き方改革」をキーワードに多様な動きが加速化している。

 「方」は、やり方の「方」であり手段なのだから、そのやり方を通して何を得たいのかが明らかでないといけない。方を変えることによって生み出したいものは何なのか。

 例えば、「余剰時間」・「生産性」・「従業員満足度」などが向上することによって、「お客さまの満足度」・「未来志向の学習」・「創造的な仕事への取り組み」へとうまく繋がってくれればよいが、生まれた時間がどのようなパフォーマンスに変わったのか、経営が意図していなければ労働時間の短縮、「時短」という成果に止まってしまう。

 定時間で、これまでの仕事が消化されることはよいことではあるが、時短=従業員満足の方程式を成立させることは難しい。また、多くの行動心理学者やキャリア研究者は、時間と心的な満足感や充足感は直接的な関係ではないと言っている。

 「時間」は、経営にとって重要な資源であるため、時間は、長さだけでないスピードやその時間の中身(質)の存在を同時に考えていくことが大切だ。

 現在、私が対面しているお客さま内でも「働き方改革」を掲げており、同じ言葉は使われているが、得たい状態が大きく異なっている。

 あるお客さまは、社員一人ひとりが保有している能力を組織構造に固定化されることなく、柔軟にフルに発揮できる「タレントマネジメント」の働き方改革。

 あるお客さまは、管理業務や単純作業を限りなく少なくする、止めることによって、外部に向けた価値ある仕事へ資源を集中するといった「業務改革」の働き方改革である。

 どちらも、明確な意志ある改革であり、前者は仕事の質とスピードが高まり、働く人の活躍領域が拡大することにより職務充実度が向上している。また、柔軟な働き方により、人を大幅に増員することなく、新たな成果をあげる組織力が向上している。

 後者は、自分たちの仕事を組織として棚卸することにより、ムダの排除ができ、この活動を機会にあらゆる仕事が作業でなく、目的と価値に紐就く考え方が定着し、時短効果以外に仕事の質が大きく向上している。

 かつて、詰め込み教育の反省から、「ゆとり教育」が導入された。本来の目的は、学力=知識偏重的な教育から、「考える力」「生きる力」といった人としての教育の充実であったように思う。

 しかしながら、授業の時間を減らす・週休2日制の導入・教育水準のレベルを下げるという活動が先行し、教育全体の中身がどう変化したか、子供たちの育成にどのような影響を与えたのかということは、検証されることなく、結果として「ゆとり教育」による学力低下が社会問題化し、いつのまにかうやむやになってしまった。

 「働き方改革」も時間とルール先行型となり本来目指している状態とかけ離れたものにならないようになって欲しいと思う。

 私は、人生における「働く」ということの意義・価値について、共に働く仲間と考え、分かち合いながら、ウチらしい働き方の多様なモデルを創造していきたいと思う。

臼井 弥生

この記事の執筆者

臼井 弥生

代表取締役社長