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リーダーのためのブログ

2017.04.14

エグゼクティブ・アイ

人財育成に思うこと~今日の経営人財を育成するには~

 新しい年度のスタート。街には一目で新入社員とわかる若者たちで溢れる季節となった。けれども、わずか数か月で新入社員とおぼしき人の姿は判別がつかなくなり、ビジネスパースンの一人として溶け込んでいく。

 ニュースで観た今年の新人たちへのインタビューで、「会社選びのポイントは?」という質問に対して、土日完全休日、有給休暇消化率、会社の安定性という返答が多く挙がっていた。世相を反映した取材なのか、(トランプ大統領ではないが)意図的なフェイクニュースなのか、疑問に思う。 

 反面、「優しい上司と厳しい上司のどちらが良いか」というアンケート結果は、「厳しい上司」という結果も報じられていた。安定志向でありながらも、自分を育ててくれる人には厳しさを求めるというのもどういうことなのかと考えさせられる。 

 そういう彼らの中から、数十年後には経営人財となる人が生まれてくる。 

 経営はサステイナブルで、その時代に合ったリレーをしていかなければならない。バトンを渡すに値する人財が育成されていない場合は、外部から調達せねばならない。

 経営コンサルタントでありながら、終盤から自ら社長に就任し、大きく会社を成長させた三枝匡氏の書籍の一節に
「米国では役に立たない社員を辞めさせて、有能な社員を外から雇う。それをしない日本企業は、その代わりに企業内部で厳しく鍛える手法を持たねばならない」
 とあった。

 経営=マネジメントは、実務そのものとは異なる能力発揮が求められる。

 昔は、チームをマネジメントする経験を積むことで、その対象が拡大しても通用するレベルに押し上げれば良かった。内部に精通し、信頼を獲得し、的確な判断能力と目標設定ができれば、舵取りができた。

 色々な部署のマネジメントの経験だけでは、経営人財としては不安である。安定成長期には通用しても、今の時代は成長期にある時こそ次の一手に着手しているかどうかが問われる。マーケットやお客さまの価値観や志向の変化をしっかり見据えた進化と開拓を現実的に着手せねばならない。

 だから、自社の現実を厳しく直視し、先見性を持った戦略を持ち、その実現に向けて怯むことのない勇気と強さが求められる。

「経営人財候補は一握り。時間をかけ篩(ふるい)にかけて育てていく」
「若い頃から経営人財としての育成は無理。まずは実務での実績と自立から」 

 ご意見は多種多様にあるかと思うが、経営を実践できる人財が欲しい、早く育って欲しいというお客さまのニーズは、私たちの会社にも常に寄せられている。

 三枝氏の言う「鍛える」ということはどういうことなのか。私自身がこの数年ずっと考えているテーマでもある。 

 わかりやすいのは、「経営」そのものを早期に経験することが望ましい。書物を大量に読めば経営ができるのか、座学で経営を学べば優れた経営ができるのか。 

 答えはNoである。

 やはり、自分で痛い思いをし、自らが障害を乗り越えていくことで多くのことを学べる。そうかと言って、簡単に経営を任せるという環境を与えることも難しいというのが現実だ。

 私が出会った優れた経営者は、学習を重視する人もいれば、実践を重視する人もいればさまざまである。

 ただ、どちらのタイプでも欠かせないのは、自分で納得いくまで深く「考え」、自分なりの仮説に基づいた決断を行い、自分の「責任」と「役割」を状況に合わせてセットする。自分のスタイルを強要するのではなく、得たい状態に対して自分自身のマネジメントができていることだった。 

 だとすれば、若い頃から自分の置かれた状況を正しく認識し、今~将来何をすべきかを絶えず考え実現策を自ら決めること。そしてそこにおける自分の責任と役割を明らかに、自分自身がどうあるべきかを考え、自らを成長させるプロセスを身に着けさせることが経営人財のベースになる。

 まずは会社に慣れる、仕事を覚える、早く戦力となるということを新人は求められるが、実務遂行一筋だと、数年後「機能人財」としての価値はあるが、「経営人財」としてはまだまだという状態になっているケースが多い。 

 20代でも優れた経営者は存在するという世の中である。そういう現実を理解しつつも、ウチの会社は無理、ありえないと思っているところにまた大きな差が生まれるのだと思う。
 若い世代が面白い、やってやろうじゃないかと思う環境があれば、安定志向より人生の充足は何かを自然と学び、会社や仕事というものへの考え方が変わってくるのだと思う。 

 「まだまだ」「無理」を捨てて、「できるまで任せる」「責任を自覚し、達成をやりがいと面白さにできる環境を創る」ということを私は推奨したいし、自らも実践しようと思う。

 

↓「経営人財」の育成についてもっと考えたい方はこちらから
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「脱・資質論の経営幹部育成」 第1回
/news-i/backnumber/51/229.html
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臼井 弥生

この記事の執筆者

臼井 弥生

代表取締役社長