LEADERS BLOG

リーダーのためのブログ

2016.07.06

エグゼクティブ・アイ

組織の感情

 20代の頃、私自身の転機となった仕事が3つある。
 一つは社内報の編集長、一つは社史の編纂、そしてOD(組織開発)部への異動だ。

 それまで、仕事に対して主体性がなかったとまでは言わないが、上司から指示された仕事を正しく理解し、期日までにきちんとこなせば良いというのが私に根付いた仕事観だった。

 職場の人間関係や環境には恵まれていたので、特段不満を感じることもなかったものの、私のやりたいこととその当時の仕事というものが合致する度合は低く、頭の片隅でやりたい仕事は何なのかいつも考えていたように思う。

 社内報は、私自身のトップや現場の人びととの関わり機会を増大させ、仕事のことは理解していても会社のこと、お客さまのこと、現場のことを知らない自分の未熟さを気づかせてくれた。

 社史の編纂は、役員・幹部・OBの方々のインタビューを通して、今日ある経営基盤の価値に気づくと共に、日本経済の歴史と構造を学習する機会となり、会社が存続することの困難さと挑戦することの意義を教えてもらった。

 そして、ODは人が構成している組織そのものの捉え方と私自身が働きたいと思う組織の在り方・作り方を学ぶ機会となり、会社の良いところも悪いところも何故そうなっているのかを理解し、体系立てて考え実践すれば、解決できるということを実践させてもらえた。

 3つの仕事の共通点は、前例や前任者がほぼいないに等しいことだった。だから、わからないことは学ぶ、人に聴く、人の力を借りる、他社事例を知る、そしていつも考えるということが仕事スタイルの基本となった。その3つの機会から得た経験の中で、これまでに感じることのない熱意・怒り・喜び・感動といった様々な強い感情が生まれ、気づいてみたら私の仕事観は大きく変わった。

 今でこそ機会に恵まれたと笑って話せる自分がいるが、当時は能力不足、経験不足で正直つらいことの方が圧倒的に多かったと思う。逃げ出したいと思ったことも幾度もあったけれど、それを口にしなかったのは、協働し、支援し続けてくれた上司や仲間の存在があったからである。

 以降、私の人生にとって仕事は自分自身を創り上げる大事なものとなった。

 今ウチのスタッフは自分の仕事にどんな感情を持って臨んでいるのか?ということが私はとても大事なことだと思っている。仕事での成功や失敗に対して、私と同じような感情を何人が抱いているか。「仕事」と「自分」の関係・「会社」と「自分」の距離をどのように捉え、どのような気持ちで臨んでいるのか。

 「仕事なのだから感情的になるな」ではなく、「仕事には感情が必要だ」と私は思う。考える時の冷静さは必要だが、考えようと思うエネルギーは感情があってのことだと思う。

 組織のビジョン実現や戦略の遂行の源泉も感情であると私は思う。だから、企業価値を高め続けることが求められる時代の中で、個人の感情を組織の感情に変換できている組織は実行スピードが速く、独自性あるものを生んでいる。

 組織内部への不満・葛藤・欲求を外部や未来に向けたエネルギーに変えられるか、自分のやっている仕事を過小評価せず、自分や会社に対して自信と誇りを持って臨んでいるか、そして、結果ばかりを追うことなく、組織の感情を経営は気にしているか。

 あなたの会社の組織の「共感力」は今どうなっているのだろうか。
 「共感力」のその感情は?温度は?色は?・・・

 考える時が来ている。

臼井 弥生

この記事の執筆者

臼井 弥生

代表取締役社長