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リーダーのためのブログ

2021.08.04

上位概念・組織開発協創の現場から

組織力ってなんなんだ-Part3

「組織としての力=組織力」を「浸透力」「展開力」「変革力」と定義し、意図して高める・育むことができる仕組みづくりについてお話してきました(Part1、2の確認は、下部リンクからお願いします)。今回は最終回として、この組織力の可視化からどう課題形成し、打ち手を明らかにしていくのかをご紹介します。

さて、ちょっと考えてみてください。皆さんの会社(あるいはご自身の部署など)は、「浸透力」「展開力」「変革力」という3つの力のうち、最も強そうな力は何でしょうか?また、最も弱そうな力は何だと思いますか?そしてその力の状態を、どうしたら改善できるでしょうか?

とある会社さまのデータを例にご紹介します。加工工場を持った素材流通メーカーのA社さま。昨年春に組織力調査を実施し、この一年でそれぞれの力が以下のように変化しました。強み(最も点数の高い力)が「浸透力」、弱み(最も点数の低い力)が「変革力」という、組織の傾向は変わっていませんが、力の強さ・パワーは向上しています。

※力の強さを100点満点で評価しています

2020年春  2021年春
浸透力

◎68点

方針は明示されており目標が理解でき、自分の責任に基づき行動できている 

◎76点

目標について職場内の共有が図られ、上司のアドバイスも得られて職場の一体感がある 

展開力  64点  72点
変革力

△58点

外部情報が共有されず変えるべき課題も明らかでなく、取引先からの期待にも変化がない

△71点

情報共有は不足だが、上司からの改善活動支援が増し、職場内の危機感が高まり個人の学習行動も強化

2020年春の結果から、強みである「浸透力」は60点台で、本当に強みと言い切れる信頼感は弱い。なぜなら、「浸透力」を分解した構成要素は、「仕組み:70点」「理解・納得:66点」「行動・成果:69点」と、理解・納得度が最も低く「やるべきことに納得できていない」状態となっていたのです。「変革力」も問題ではあるけれど、まずはこの「浸透力」を確かなものにするべく、浸透力を支えている「仕組み」の活用度を高め、社員の目標に対する「理解・納得度」が上がるよう、管理職からの働きかけを強化することが必要との課題認識に至りました。

課題認識 強化したポイント
浸透力 ●力の「信頼度」向上
「仕組み」の活用を高め、社員の「理解・納得」を高めることで、個人の責任感だけでなく職場の一体感~組織の力にする
・管理職との方針共有機会を強化
・管理職層で課題をプロジェクト化
・全社目標進捗についての職場内説明機会を定期化
・個人目標のフォロー面談の時間を長く取った
変革力 ○上記を通じて、変化の必要性の理解度を
高め、改善行動を促進する
・目標進捗の説明会の際に、顧客・競合先情報の説明を実施
・フォロー面談を通じて、日常的な業務改善のアドバイスを強化 

弱みの「変革力」については、直接的な強化施策は行わず、「浸透力」を高めるための取り組みの中で、変革に繋がる働きかけを強化し、間接的に力がついてくるようにしました。

結果、この春の診断では、3つの力全ての数値が向上しました。ここまではねらい通りでしたが、真ん中の力である「展開力」が数値的には向上したものの、パワーとしては弱みの「変革力」と同様の数値となりました。実際、コロナ禍の影響もあり、仕事が計画通りに進まない中、日常的な管理面や安全面にほころびが出ているとのこと。今期は、この「展開力」に着目し、組織力の安定化を図っていく方向性です。

自社・自部署の状態なんて、わざわざ調査しなくても分かっている、という思いもあるかと思います。管理職として、日々集団マネジメントは意識してやっているという思いもあるでしょう。

でも、もしかしたら、感覚的な認識を定量的な実態把握に変え、経験論や思い付きでなく要因分析に基づく論理的なアプローチに変えたら、もっと組織の力を効果的に引き出すことができるのではないでしょうか?素晴らしいリーダーシップやマネジメント力を持った人でなくても、組織を持続的に成長に導くことができるのではないでしょうか?

皆さんは、どう思われますか?

 

これまでの記事はこちらから!
【組織力ってなんなんだ-Part1】
【組織力ってなんなんだ-Part2】

この記事の執筆者

立石 裕美

チーフコンサルタント
専門分野:組織変革・人材育成