LEADERS BLOG

リーダーのためのブログ

2020.11.11

協創の現場から人材戦略・人材開発

リモートでの新人育成で配慮したいこと

   先日、ある会社様で新人指導者向けのOJT面談を実施させていただきました。期初に新人指導者研修を受講した社員向けに、講師とのマンツーマン面談を通じ、新人受入後の指導進捗の共有や、実際に研修で習った事が活かせない場合には個別アドバイスを提供する機会です。

    今年はコロナ禍の入社とあって、例年とは異なる状況下でのOJTではあるものの、その会社様の中で芽生えた変化の一つは、例年以上に新人指導の実験的な取組みが見られたことでした。そこで今回は、今年に入って様々なお客様の新人受け入れ〜指導の現場から徐々に分かり始めた、新人育成で配慮したいポイントを見ていきたいと思います。

【今年の新人指導・定着に向けて配慮したいポイント】

① 指導育成で発生する悩み・ノウハウの共有強化

 例年、新人指導者を悩ませる内容として挙がりやすいのが、職場内の協力が仰ぎにくいというものです。リモートワークになって加速し、新人指導を一人で担うことのプレッシャーやストレスが発生しやすくなり、指導状況もブラックボックス化しがちになりました。そこで、ある会社様では、指導者向けの研修開催後、Teamsなどでグループを作成し、指導計画書・日常的な指導日誌・月次面談シートを常にライブラリーで閲覧できる状態にしたそうです。そうすることで、相互の育成状況の進捗だけでなく、良い事例は職場内に取り入れ、不明な点はチャット上で尋ね合うようにもなりました。また、隣の部署同士で勉強会開催が予定されれば、複数の新人参加者も募り、教材準備も協力し合っていました。職場メンバーだけでなく、指導者という同じ立場同士のコミュニティを形成し、手軽に助け合うことは、指導者自身の不安払拭にもつながります。

② 距離感を感じ過ぎない状況整備

 リモートワークであっても職場の臨場感が実感できるように、ZOOMやTeamsのカメラを起動したままにして新人が相談しやすい状況を作っているという事例はよく聞かれました。それだけでなく、職場メンバー全員が終礼時間に、その日一日に助けられたことを些細な内容でもチャットでコメントし、相手が存在することの重要感を認め合う活動を定着している職場もありました。また珍しいケースでは、新人が同期同士で集まり、コミュニケーションをとる機会が不足していることを察した指導社員が、新人の配属先に関係する周辺部署や全く分野の異なる部署に所属する若手・ベテラン社員3名に呼び掛け、新人3名程度を招待し、スリーオンスリー面談を実施。新人が所属する部署への期待や、自社で働く理由、これまでに苦労した経験などを話す機会を設けた会社もありました。新人の戦力化とコミュニケーションの密度とは比例する確率が高いため、日常の中にコミュニケーションをとる仕組み・ルールを確実に備えておくことは有効だと思います。

③ 前例のないタスクフォースへの思い切ったアサイン

 直接の顧客訪問が適わない営業職の新人は、実地機会が少ないため育て方が難しいというのがよく聞かれるケースです。ある会社様では、直接訪問型で営業スキルを実地指導するスタイルから、ウェビナーを活用した営業セールス強化プロジェクトへ新人をアサインし、集客活動・アフターフォローに新人のアイデアも活かしているという話を聞きました。つまり、指導者も経験したことのない、前例なき活動に一から立ち合い、自分とは異なる新人のキャリア形成方法を見出そうとしていました。これにより、新人が何でも指示を仰ぐクセが少しずつ取れ、「こんなことをやったらどうですか?」という提案が徐々に増えているとのこと。

 さて、いかがだったでしょうか。まだ実験的にリモート育成を試みている職場が多く、何が正解であるか定かではありませんが、指導者に求められる能力は「指導力」だけでなく、指導育成に関する「発信力」「企画力」「コーディネート力」も重要になりつつあると実感しました。

 様々な企画が誕生することも大事ですが、私が担当する企業様では、当年の指導者としての悩み・苦労・成長が加速したエピソードを期末にアンケート採取し、次年度の指導者に新人受入イメージをつけるようにフォローしています。これまでに経験したことがない状況だからこそ、組織の指導ノウハウを継承するプロセスづくりも忘れないようにしたいものです。

この記事の執筆者

馬場 英博

コンサルタント
専門分野:人材育成