LEADERS BLOG

リーダーのためのブログ

2020.10.13

エグゼクティブ・アイ上位概念・組織開発

WFHとWFOのジレンマ

 下期に入った。これまで経験したことのないコロナ禍のもとで、改めて様々なことを考える機会となった。多くの経営者が今回の経験を通して、これからの経営の在り方を大きく見直していることかと思う。

 仕事で遠方へ出かけることが多い我々の会社では、移動時間の有効活用やどこでも仕事ができる状態、出先で仕事が完結できる状態づくりといったことをテーマにかなり前からIT機器やさまざまなアプリケーションを導入し試みてきた。Office365への切り替えに伴い、Teamsを活用した組織内情報の共有やリモートでの連携についてもコロナ禍前より馴染んでいた。結果として、今回の状況のもとでも比較的円滑に在宅勤務が行える状況にあった。4~5月は大半の社員が在宅勤務を中心とした仕事スタイルとなったが、対面上で実施することが大事だと思われることは必要に応じて出社する状態にあった。私自身は週の半分は出社していたものの、人気の少ないオフィス、スタッフの声もほとんど聞こえない静寂の中で「オフィス」の価値とは何かと考えざるを得ない状況が続いた。

 会社としては在宅を奨励していたが、私自身は6月からは在宅をしないと決めた。理由は簡単で、家という空間では私の仕事はほとんどできないと判断したからだ。会社にいれば、私を交えたミーティングが必要な時にスタッフは出社してくるし、簡単な相談を受けることができる。社長ではあるけれど、私を含めて仕事テーマに応じて皆がパートナーシップを発揮するというのがウチの文化でもある。公式に定めた会議は最小限、タスクに応じてフラットなコミュケーションが社内外を含めて多様に存在するというのが仕事スタイルとしても定着している。決まったことを共有するミーティングはTeamsでも十分可能ではあるけれど、企画的な要素が高い内容のミーティングでは、やはり対面の方が生産性は高い。一見横道に外れたような雑談や笑いから良いアイディアが見えてくることが多々ある。定型の仕事がほとんどない私たちのような会社では、リモートの限界・壁ということを実感している。

 そうした状況下にあって、いまだ明確に「これがベスト」と言い切れる状態にないのが、WFH(ワーク・フロム・ホーム=在宅勤務)とWFO(ワーク・フロム・オフィス=出社勤務)である。現在は、状況に応じたハイブリッド型で行っているが、オフィスを維持するコストとそのパフォーマンスを考えた時に本当に今のスペースが必要なのか、今の働き方でよいのだろうかと葛藤している。

 先に述べたように、確定している仕事、決まった仕事はITを駆使してさらなる生産性を高める機会にもなるし個の自立性を高める機会にもなるだろう。しかし、創造型の仕事は相当自立度の高い人でないと困難であるし、そもそも交流することによって新たな切り口を見出すことが可能となり、それは組織で働くことの価値の一つであると思う。

 また、人の成長における「環境」をどのようにとらえるのかという大きな課題もある。新入社員や新たなスタッフを受け入れる時、JOB中心でこちらが期待するように人は育つのだろうかということである。組織開発の考え方でも、人の能力発揮を期待するにはその人がどのように「環境」を認知するかが大きな課題であると示唆している。それぞれの会社が保有する文化や先輩らの仕事スタイルから新人は多くを学んでいくのである。リモートでも自立心の高い人は成長できるかもしれないが、多くの人は支援や交流を求めているのではないだろうか。

 以上のことを踏まえて、イノベーションが常態化でき、ウチらしさを皆で追求でき、皆が幸福感や充実感を得ることができるオフィス・働き方を再考するプロジェクトを社内で立ち上げた。まずは、過去にとらわれない断捨離活動を行う。思い切り身軽になることで本当に必要なモノ・コト・ハコ(空間)を考えていこうと思う。未来に向けてジレンマを乗り越えて、私たちなりのベストを創造していきたい。

この記事の執筆者

臼井 弥生

代表取締役社長