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リーダーのためのブログ

2019.11.06

上位概念・組織開発協創の現場から

デジタル化を推進できる組織とは

 業務改善を検討する場に同席する機会がありますが、デジタル化を基軸に考えればもっと簡単にできることがあるのに、と思うことが少なくありません。これについては、「仕事のやり方を変える」というかけ声はあっても、それを具現化するアイディアが出てこないケースか、デジタル化を活かせる状況にないケースの2つが多いように感じます。

 セキュリティを重視し、対策がしっかりされていることに比べて、ネットワークが有線だけだったり、業務システムも専用に開発したため、改善が思うようにできなかったりしているお客さまを少なからず目にしてきました。現場にネットワーク環境がない、といったインフラレベルのことは、一部署、一社員では解決しにくいことではありますが、旗振り役のポジション、パワー次第でどうにでも変えられることでもあります。

   一方で、アイディアが出てこないということは、リサーチ不足ということでもあります。ICTツールは凄まじいスピードで進化していくため、サブスクリプション方式の利用形態も当たり前になってきました。まず試してみて合わないならやめる、ということが容易になり、新しく導入することに対するリスクはひと昔前より、確実に低下しています。何よりシステム部が調査し、お膳立てして社員に使ってもらうというスタイルだと、世の中にある便利なツールをカバーすることは困難になっており、業務改革や不便の解消を望む社員が自ら探し、現場でトライして効果的だったものを、システム部を経由して全社展開するというスタイルの方が変革スピードを高められることでしょう。

 では、どうすれば社員が自発的にデジタル化に取り組めるようになるのでしょうか。ICTの力量の側面は確かにあります。「ITリテラシー」という言葉がもてはやされた頃に、即効性はなくても社員のIT活用力向上に取り組んでいた企業は、「働き方改革」へつながる昨今のデジタル化の波に会社として対応できているように感じられます。もっとも、今の社員はスマホをはじめとしたデジタル環境に慣れているため、以前よりデジタルツール導入のハードルは下がっていることも間違いありません。

 そこに自発的な改善行動が加わるかは、組織文化や環境の影響が大きいのです。デジタル化、特にコミュニケーション系は、関与する全員が足並みを揃えられないと効果性が下がります。変えることへの抵抗は、デジタル化に限定しなくても、改善の妨げとなります。やりたい、やってみたいという思いを持っている人がいたら、展示会などの見学に行かせるなど、デジタル化を通じた効率化を図ることは大切な仕事の一つであるという意識付けや、みんなでやることで成果を出そうという空気をつくることは、デジタル化の動きを活かすために必要なことです。
 
 こうして考えてみると、結局従来通りという保守的な姿勢・思考がデジタル化を阻害する要因として大きいように思います。 心当たりのあるマネジャーの方は、当たり外れがあることを前提に、職場に変化を生み出すことを狙って、デジタルツールを導入することそのものを推進してみてはいかがでしょうか。デジタル系に不案内なのであれば、それこそ若手社員主導で進め、受け入れ、協力するだけで良いのです。 自分の役割をデジタル化で生産性などの成果を出すことではなく、部下がデジタル化を武器に改善思考や自発性を発揮する環境をつくる、という意識で臨めば、アイディアがどんどん出てくる組織に近づくのではないでしょうか。

この記事の執筆者

杉岡 篤樹

コンサルタント
専門分野:人材戦略