LEADERS BLOG

リーダーのためのブログ

2019.09.11

協創の現場から人材戦略・人材開発インナーブランディング

一人ひとりの“したい”を育む会社とは?

 先日、「働き方変革」に取り組むお客さまの社内報の企画で、本社ビルそのものをシェアオフィス化し、社内外のオープンイノベーションが常態化する環境を築いている企業に編集員の皆さんと取材させていただきました。
 環境づくりのベースとなっているのは社員一人ひとりの「ライフミッション」。すなわち「人生における使命」がビジネスや事業の芽となり、社員は自立的に同社のリソースや機会を活用し、ビジネスとして開花させることができます。そう、社員の成長が企業の成長に繋がる好循環を生んでいるのです。
 最近よく聞かれる、働く社員にとって仕事は「私事」か?「死事」か?「志事」か?という問いがありますが、組織や人に単に仕えるのではなく、自分のためだけのものでなく、ましてや自分の人格を殺してやるものでなく、志や信念のもと自分らしく世の中にとっての「志事」をする、その実現の場としての職場がそこにはありました。この会社には採用難という言葉はなく、多くの新卒や転職先としての入社希望が後を絶たないそうです。
  「このような働き方ができるのはベンチャー系やIT系の世界の話で、長きに亘り複数企業とのサプライチェーンの中で製造や流通を営む自社のような組織では、このような自由と自己責任の働き方は不可能だ」という声が聞こえてきそうです。しかし著しい世の中の変化の中で自己変革を余儀なくされ、「創造性の発揮」や「異能との協働」を実践する主体的で挑戦的な人材づくりや環境づくりは、どの企業にとっても命題のはずです。
 あるお客さまは、独自性ある自社ブランドを体現する人材に磨きをかけるために、前述のライフミッションのように、数年先をみた自分の夢や存在価値から目標を描き、いきいきと成長していけるように、「したいこと」「できること」「すべきこと」の3つの視点から自己を見つめ目標を描く仕組みを導入しました。はじめは、「したいこと」が目先のやるべき業務や課題になっていましたが、しだいに本来の自分の強みやありたい姿を鮮明に描けるようになってきています。
 マネジャーの一人がこんな疑問を口にしました。
「この3つの円が重なりきってしまったら、その人はウチの会社での目標がなくなり、別の会社に行ってしまうことになるんですかね?」
 はい、この会社に、将来を見据え、ビジネスや組織・人の可能性を拡大し続けようとする意志やそのためのフィールドを築く努力が見られない時は、自分のビジョンや目標が明確な人ほど、社外にあらたなフィールドを見出すことでしょう。
 となると、このようなライフミッションを社員に問い、描くことは、人材流出のリスクにつながるのだから、やめたほうがいいと思いますか?
 それとも、社員が自分のあらゆる可能性を拡げていくことを奨励し、支援し、それを活かせる会社づくりに挑んでいくべきだと思いますか?
 

この記事の執筆者

藤掛 里花

チーフコンサルタント
専門分野:企業文化・組織変革