LEADERS BLOG

リーダーのためのブログ

2019.08.28

協創の現場から人材戦略・人材開発

成功の発想

  先日、ある会社を訪問した際に、キャリアコーチングを担当していた若手管理者から相談を持ち掛けられた。当人は現在30代であるが、今年の4月から所属組織の重要ポジションに抜擢され、これまで以上にマネジメントの規模感が広がり、経営層とも日々密着したやりとりをしているとのこと。 

 そのような中で、「マネジャーとして壁にぶつかっている」とのことだった。具体的には、「職場のチームリーダーであった時代は、メンバーに自分のやり方を真似する様に働きかけ、想定内の行動を促してきた。しかし現在は、マネジメントの範囲が広がり、よりメンバーに主体的な行動が発揮されるよう意識せねばならない。だが、自分が思う程主体的な行動は芽生えてはいない。直近、自分自身が一番思い知らされたことは、マネジメントというものを言葉だけで分かった顔をして、本当は全く分かっていなかった」という。
 職場内に終日いた私は、その若手管理職の一日の行動をよく見ていたが、若手・中堅の階層を集めて、以前のように「こうやりなさい」という指示命令でなく、個別に「相手から見られたらどう思われるか考えたことはあるか?」という本人に考えさせるコミュニケーションを相当意識しているようで、毎日の中で自分の意図を伝える工夫をしていることが読み取れた。悪戦苦闘している様子に少し心配したものの、帰り際に当人から出た言葉は清々しく、「昔から自分の成長のキッカケには必ず壁があった。そのため、今回も絶対に乗り越えられると断言できる」というものであった。

  当社でキャリア開発を支援するコンサルタントの間には、「成功の発想」という言葉がある。物事に直面した時に「無理・できない」というマイナスで発想し尻込みするのではなく、自分が遭遇したことのない状況下であっても「できる・まだやれる」という経験的な妥当性や自分自身の積み上げたキャリアへの自信から、人は強い確信を持つことができる。そして、確信ある言動から、我々はその人物に信頼を寄せ、魅せられるものである。 時に、できない・撤退するという判断や言動にも勇気はいるものだが、できる・越えられると言い切る中にマネジャーとしての成長があり、そのことが所属する組織や社員の成長も促進するのではないか。どのように上手くやるかという発想だけでなく、物事のスタート段階で成功を確信する発想を持つことそのものを大切にしたい。

この記事の執筆者

馬場 英博

コンサルタント
専門分野:人材育成