LEADERS BLOG

リーダーのためのブログ

2019.08.07

協創の現場からインナーブランディング

社員の「巻き込み」は何のため?

 あるお客さまの50周年事業のお打合せをしている際のことです。ご担当者からどうしても今回の周年では、「社員の巻き込み」を強化したいとのお話がありました。

  このお客さまは、10年前の40周年の際も式典を行い、お祝いをしたそうです。しかし、「準備に十分な時間をかけることができず、担当部署である総務部門のみが関わったパーティーになってしまった。ホテルを借りてお客さまもお呼びし豪華に行ったが、社員の印象にはまったく残らず、費用だけがかかってしまった反省がある。そのため、今回は皆の意見を聞いて、巻き込みながら行いたい」ということなのです。

 まずはアンケートをとって、皆の声を聴きたいとのこと。そして、式典を成功させたいので「周年式典・パーティーでどのようなことをやってほしいですか?」からアイデアを集める予定。少しでも要望に叶った式典にすれば、楽しんでもらえて心に残るのではないかとお考えです。

 社員を巻き込みたいので、皆の声を聴く・・・一見、正しいことのように思えますが、でもちょっとよく考えてみてください。果たしてそこからスタートしてよいのでしょうか?
 
  いきなり会社からこのような質問をされたら、社員の皆さんはどのようにお答えになるか想像してみてください。
  「皆が参加できるゲームをやってほしい」「外部から講師を呼んで●●についての話を聞きたい」「普段話ができない人たちと話ができる場をつくってほしい」「美味しい料理が食べたい!」・・・出てくる回答は、バラバラ、好き勝手で収集がつかなくなってしまうのではないでしょうか?
 
 いくらボトムアップといえど、何のための周年機会なのか目的や得たいものがハッキリ見えない中で「やってほしいこと」「やりたいこと」を聞いても、活用しづらい、そしてむしろ取り扱いに困り、自分たちの首を絞める結果になるのです。そもそも、要望を聞いてそれを叶えたとしても、参加者はお客さま的になり、結局主体となる部署や実行委員が行うことになってしまうでしょう。
 
  「皆を巻き込んでつくる」周年イベント=「皆が何をやりたいのか聞く・要望に応える」イベントではありません。
 会社の将来のために、どのような周年機会にしたいのか、皆で会社の「現状」を知り、考えていく場なのです。 

 「一体感を高める機会」にしたいのであれば、現状のコミュニケーションの度合いなどを把握する、「ビジョンの浸透を高める機会」にしたいのであれば、現状のビジョンの理解度を知るアンケートを採るなど、将来に向けて周年イベントがどのようなインパクトを与えるのか、を思考する材料をアンケートで採取する方が、よっぽど社員を巻き込んだイベントになると思いませんか。

 周年をきっかけに今一度、社員の声から現状を知り、将来に向けて皆で思考する機会にしてみてはいかがでしょうか。それこそが結果的に、社員を巻き込む周年イベントの成果につながるはずです。

この記事の執筆者

林 恭子

コンサルタント
専門分野:企業文化