LEADERS BLOG

リーダーのためのブログ

2018.12.12

協創の現場から人材戦略・人材開発

育成の可視化

Jリーグの村井チェアマンの「育成の可視化」への取り組みに対するインタビュー記事を読む機会があったが、大変興味深い内容でした。

サッカーチームにおける育成の鍵は、往々にして優れた指導者を連れてくることと考えられがちですが、監督や指導者が変わった際にすべてが変わってしまうとして、記事の中でそれだけでは不足であると結論づけられていました。

特に印象に残ったことは二つあり、一つは、チームごとに、育成コーチへの指導方法などかなり細かいところまで踏み込んだ外部機関の審査を受け、Jリーグ全体として各チームの育成力向上に取り組んでいることです。

審査のベースになっていることは、自チームのアイデンティティを明確にし、きちんとした育成哲学をもって、継続性・連動性ある組織的な育成施策を実践することです。サッカー上位国との育成力における差がどこにあるのか、結果や感覚だけでなく、育成体制・プロセスのレベルでつかんでいます。

審査結果を受け、改善に本気で取り組むチームには、金銭的・機会的に支援していることを知り、協会がそのような機能を果たしていることに、これからの日本サッカーへの期待感が高まりました。

私自身も、社員の育成が上司次第であることは健全ではなく、上司が変わっても能力や指導アプローチが継続できるようなあり方を模索し、企業としての育成ビジョンを掲げ、個に頼らない育成環境を整えることを、お客さまと取り組んできました。組織における育成の問題意識や課題は、業態が異なっても本質的な部分は同じなのだと思います。

 二つ目は、自分で考える、判断できる力が、フィジカルやテクニックの前提になる力として重視されていることです。過去のワールドカップ優勝国でも、試合の中で状況に応じて自己判断できるように長年取り組んでいる事例がありました。審査の中には選手自らが練習プログラムを考え、提案することが月1回以上あるか、といった項目もあるようです。

 企業においても、業務知識・技術を教え込んだり、トレーニングする教育は充実している一方、判断力をはじめとする「ビジネスセンス」と言われるようなものは、きっかけとなる研修を用意する程度で、継続的に啓発するための組織的な仕掛けを意識的に整えているところは少なく、今後の課題であると感じました。

 労働人口が減少していく中、人材育成に対する重要性を感じる度合いが高まっていますが、継続的に真剣に取り組む上で「育成の可視化」は重要なテーマになっていくのではないでしょうか。 

 

 

この記事の執筆者

杉岡 篤樹

コンサルタント
専門分野:人材戦略