LEADERS BLOG

リーダーのためのブログ

2018.10.10

エグゼクティブ・アイ

変革と組織文化

かなり前のことになるが、『なぜ会社は変われないのか(柴田昌治著/日経ビジネス人文庫)』という企業再生の風土改革のプロセスを描きベストセラーになった書籍があった。私もすぐに読んだが、会社が変化していくプロセスだけでなく、むしろその会社の風土や文化といった目に見えない存在の大きさということを再確認したという記憶がある。また、書籍の中の取り組みの一つである現実的な職場や仕事を離れて会社や自分のことを語り合う「オフサイトミーティング」は、多くの人々に受け入れられ、取り入れる企業がたくさんあったように思う。

「これだけ世の中や環境が大きく変化しているのだから、我々も変わらなければ!」という考えや想いから、「変革」「挑戦」という言葉が社内に溢れ、その必要性を理解しつつも、そもそも何が挑戦に値するのか具体化されていない、挑戦の試みによる成果を手にすることができずに葛藤する、毎年大きな課題を掲げられ挑戦そのものに疲れてしまっている会社に遭遇することがある。もちろん、全員がそうなっているわけではないけれど、掲げる目標や課題の言葉と職場に流れる気が合致していないと感じる会社に出会うことがある。

 一方、変革と挑戦が仕事スタイルとして当たり前化し、仕事はハードだけれど楽しいと感じている、常に新しいことを進んで学習している、思ったような成果が出なくともそこから次なる可能性を見出そうとしている人がたくさん存在している会社との出会いもある。

 経営層の方々から、自社の組織文化が過去と比較して「勢いがない」「真面目な社員ばかりで面白さや強さが物足りない」「出る杭になるような人材が見当たらない」などといった声を聴くことも増えている。

 元気な会社=いきいきとした社員がたくさんいるという状態は、経営者だけでなく社員も当然望んでいることではあるけれど、なかなか思うようにならないという時に何をすればよいのか。

 「変わる」ということ以前に、「組織文化」という目に見えないものを正しく認識することが重要だと私は思う。

 挑戦をさせることばかり考えたマネジメントには限界がある。色々な挑戦機会を与えれば、期待する行動をとってくれるかというとそうはならないのが現実だ。

 ウチの会社としての仕事とはこうあるべき、こういう考え方で物事を受け止め取り組むのがウチのスタイル、新しい世界を切り拓こうとするカッコいい上司や先輩がたくさんいるといった日常のリアルな世界が組織文化である。その土台がしっかりしているかどうかが課題なのだ。「あなたの会社の良いところや特長は?」という問いかけに対して、仕事や業績中心の返答ばかりの組織もあれば、社風やマネジメントの在り方をポジティブに返答される組織もある。

 人を動かすこと以前に、人が動きたいと思う組織を創ること。そして、そのベースになるのは、その組織の価値観と行動規範そして制度である。特に影響力ある人の行動習慣が組織文化形成の要因となっている。制度から着手するのではなく、きちんと自社の組織文化や社員に共通認識されている考え方を把握してどのようなアプローチが合うのかを考えていくことが大切なのである。

 組織文化や風土というものは、ある・ないというものではなく、濃淡である。多くの人々に共通認識されていれば濃いという状態であり、それぞれがバラバラであれば希薄という状態である。

 今私が対面しているお客さまは、経営における理念の価値を深く理解しており、何よりもそこを第一において、常にその共感の輪を深め拡大するための施策を打っている。結果として、独自性ある人財育成の実現、戦略的な取り組みスピードの速さ、企業ブランドの確立が図られ、競合先との差異化に繋がっておりしっかりとした業績をあげている。

 「ウチの会社、ウチの職場の良いところ・好きなところはどこか?」という問いにあなたの会社のスタッフは何と答えるのだろうか。変革課題を考える前に、土台の確認をすることに目を向けていくことで、本質的に大切な課題が見えてくるのではないかと思う。 

 

 

 

 

 

この記事の執筆者

臼井 弥生

代表取締役社長