LEADERS BLOG

リーダーのためのブログ

2018.09.26

上位概念・組織開発協創の現場から

アンコンシャスバイアスをコンシャスイシューへ

 先日、「働き方改革に前向きに取り組む」企業は63.1%であったという調査結果が帝国データバンクより発表され、その目的としては「従業員のモチベーション向上(25.6%)」から「人材の定着(19.8%)」「生産性の向上(15.9%)」と続いていました。多様な経営課題を、日本全体の取り組みの中で解決しようとする様子がうかがわれる結果でした。

 私達がご支援している会社さまでも「人事制度などの働くルールを刷新した」、「生産性向上のためにITシステム投資を行った」等々、働き方改革への取り組みに着手されています。しかしながら、制度やシステムを変えても、職場に思ったような成果が生まれないと嘆く担当者の方も少なくありません。

 ある製造業のお客さまでは、管理業務工数の削減と、在庫削減による工場作業の生産性向上のために在庫管理システム導入を行ったのですが、中々成果が顕在化しませんでした。現場側では「システム導入で管理する時間は減ったけれども、営業からの要請で保有していて処分できない在庫があることは変わっていないから、在庫量は減らない。置き場での作業効率も変わらない」という認識。一方で営業側では「お客さまが必要だと言っている以上、関係が悪くなるのを懸念して、これまで依頼や交渉はしてきませんでした」との回答。これまでの商習慣からの思い込みで「お客さまから要請された在庫量は変えられないものだ」「在庫の交渉はしてはいけない」という組織としての共通認識にアプローチしていないことが根本的な原因でした。
 
  “アンコンシャスバイアス(無意識の思い込み)”という言葉が広がりつつあります。「ベテランは柔軟性に欠ける」「女性はリーダーになりたがらない」のように、ダイバーシティ推進の際の阻害要因の一つとして使用されるシーンが多いのですが、実は日常業務の中にも存在しているのです。上のお客さまのように、働き方改革のために「システム」を導入しても、運用する「人」の側面に着目し、社内の規範や個人の捉え方にまで踏み込んだ議論や共有・徹底をすることが抜け落ちてしまうことが多いのではないでしょうか。
 
 自分たちの組織の常識は、他業界や他社から見ると非常識に映ることが多々あります。その「常識」に問題ありと認識されていれば、強力なリーダーシップやコミュニケーションを通じて解決に導くことも可能です。しかし、問題を引き起こしている要因が、組織の「ものの見方・考え方、価値観・規範」にあると自分たち自身が気づかなければ、課題として着手することもできません。そのために、外部の有識者や専門家からのフィードバックを有効に活用することも一つの解決手段です。
 
組織としてアンコンシャスバイアスを認識し、コンシャス(意識的な)イシュー(課題)に転換することが組織の進化を促すエンジンになるのです。
 
参照:帝国データバンク「働き方改革に対する企業の意識調査」

この記事の執筆者

渡邉 健

コンサルタント
専門分野:人材育成・組織開発