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リーダーのためのブログ

2018.08.29

協創の現場から人材戦略・人材開発

人事制度の効果性を妨げる、意外な理由とは?

 人事制度を構築した場合、浸透に向けて説明会や考課者向けの教育を展開することになります。新制度の導入年度や変更を行った際には力を入れて臨みますが、初年度以降のフォロー、例えば新任管理職向けの教育などは漏れてしまいがちです。

 あるお客さまでは、教育体系を刷新した際に、初めて考課者を担う役職者向けの研修で、人事制度を改めて理解するようなプログラム設計と実施支援を行いました。その方々は新任の役職者ですが、これまで「考課される立場」で人事制度に関わってきた経験があります。そうした実体験から考課者としての役割を認識させようと、講師が「考課結果とその理由について説明やフォローを面談された経験がありますか?」と確認したところ、10%程度しか手が上がらなかったそうです。

  人事制度の運用においては、給与・賞与に反映される「考課結果を決定する」ことに関しては、必ず実施されるものの、例えば、考課結果について対象者と共有し、次の行動へ活かすなどのフォロープロセスについては、制度に明記されていても実施されるとは限りません。

 また、同じ研修で評価ツールの前提となっている人材像について確認する場面では、使われている用語、このお客さまのケースでは“全体最適”という言葉の意味が説明できるか、自信がないと感じている、という事実も発覚したそうです。

  実はこのお客さまの人材像づくりは、私も一緒に作成しており、人材像策定プロジェクトにおいても、社員に馴染みのない言葉は用いず分かりやすくしよう、という認識の上で協働作成したものでした。

  人材像作成後の展開については、お客さま主体で臨み、各支店での説明会を巡回開催し、全社員が参加していたのですが、それでもこうした事態が起こりました。プロジェクトメンバーが想定した以上に、現場の中で共通認識されている言葉や考え方との乖離があったのでしょう。

 マネジメントや仕組みを企てる側の認識と実際の現場とでは、このようなギャップが生じることは、我々が思う以上にあるのではないでしょうか。特に用語については、共通認識ができていなければ、真意が伝わらない訳ですから、マネジメントの効果性に影響を及ぼすことになります。

 このお客さまでは、「今更聞くに聞けない、というようなケースもあるだろうから用語集でも作ろうか」という前向きな話になっています。

 日常的なコミュニケーション機会はもちろん、研修や診断などのアプローチを通じて、実態を把握することを意識してみると、効果を出すことを妨げている意外な理由が見つかるかもしれません。

この記事の執筆者

杉岡 篤樹

コンサルタント
専門分野:人材戦略