|
 |
|
 |
|
 |
|
今から20年ほど前、私自身が勤務していた会社がコンサルタント会社の力を借りて、大変革活動をスタートさせました。統制がとれ、力強い風土は持っていたのですが、トップダウン体質が強く、主体的な課題への取り組み姿勢が弱く、経営環境への適応性が懸念されると指摘されていました。また、業界内トップシェアと安定した業績に支えられ、ウチの会社は潰れないと口にすることはないものの、創業期の勢いやウチの会社らしさが失われつつあったのだと思います。トップの強い危機感もあり、まさにドラマのような変革活動が行われたのです。私は、一社員としてそれまで特に問題なく仕事をしていたつもりでしたが、自分の考え方を問いただす研修への参加や次々と展開される社内変革プロジェクトに加わることで、会社や仕事そして自分の生き方そのものの意味や価値ということを再認識することになりました。
嵐のような一連の変革活動により、会社は大きく変化しました。能力実績主義の人事制度や分社化など経営の仕組みも大きく変わり、業績も向上し、社内には以前と異なる空気が漂い始めていました。外部の力だけで変革を行っても、結局自分たちの血となり術となりはしないという幹部の考えのもと、社内に組織の変革を専門に扱う部署(OD部:Organization Development)が設置され、私はその一員として中期計画に基づいた計画的かつ継続的な変革を推進する役割を担っていました。その部署が分社独立したのが、私たちの会社です。組織内の現実の問題に直面しながら、そこに働く人びとの力を思う存分発揮してもらうことで、自分たちの会社の運命は自分たちで切り開くことができるということを体験しました。そして新たな課題に直面するごとに、経営関連や人材開発の書物に日夜囲まれながら、試行錯誤を重ね、現場に合った変革プログラムや教育プログラムを開発しました。私たち自身ももちろん学習しましたが、現場から多くのことを教えてもらった毎日でした。
会社が変わるということがどういうことなのか、私たちはそれを自ら体験したのです。本来患者であった立場にあったからこそ、今の私たちの会社は存在します。治癒のプロセス上にある痛みや喜びを忘れない、これこそ私たちが今でも大切にしていることなのです。 |
|
 |
|
さまざまな企業に出向き研修を行い、プロジェクトサポートするのが私たちの主な仕事になります。そこでよく「先生」と呼ばれることがあるのですが、これにはやや抵抗を感じます。私たちは創業期の頃から「コーチ」のスタンスを大切にしています。『その職場の問題はそこで働く人びとが一番よく知っている』という組織開発の仮説を信じて、その職場の人たちの考えをいかに引き出すかが私たちの役割だからです。スポーツの世界と同様に、ビジネスの世界においても、今コーチング手法が注目を浴びています。名コーチは、自分の果たせなかった偉大な功績をあげる選手を育てます。その人を自分の枠に押し込めるのではなく、その可能性を引き出す能力に長けているから成せることです。
私たちも、その人たちの能力を引き出すために、さまざまな情報やツールを提供しながら、主役はあくまでもその企業の人びとであることを決して忘れることはありません。組織の成長はその企業の人びとの主体性があってこそ実現するからです。やらされ感のある研修やプロジェクトがうまくいかない原因も同じです。ですから、一方通行の情報を提供するのではなく、その企業やその人たちにいかにわかってもらえるかが大事なのです。学習のための学習にならないように、学びを活かせるかが重要なことであると思っています。企業によって、関心事も問題も異なります。そこに適応しながら、何を伝えることができるか、私たち自身も試されているのだと思います。それを継続するには、まず私たち自身が学び続けること、これが最も大切なことなのでしょう。 |
|
 |
|
研修を終えて、「良かった」と感じたからと言って、本当にその人たちの行動は良い方向に変わるでしょうか?正しいことだから理解はできても、その人の納得感が得られなければ、行動が変わることは難しいでしょう。場合によっては、人に言われたことでとった行動には、窮屈で苦痛を覚えることもあります。
理解(頭)し、納得(心)し、それが行動(体)となり、習慣化することで初めて学びを自分のものにできたと言えるのだと思います。「気づき」を得るためには、そのきっかけを得る必要があります。自らと向き合う機会です。多くの人は、日々の生活の中で自問自答する必要性は理解していても、なかなかそのような時間を持つことは難しいものです。私たちのセミナーでは、そのような人たちが自らの気づきを促す状況を作り出すことを心がけています。教える〜教わるという関係ではなく、気づきを得る機会を創造する私たちのセミナーでは、体験的な学び方の手法を数多く取り込んでいます。人それぞれ、長所短所があるように、問題意識や欲求も多様です。その多様さに応え、かつ考える力を養うことで、テキストの行間にある意味合いを自分のものにすることができるのです。人びとの自らの意思を持つ心を育み、考える力を養うことによってこそ、成長し続ける人材育成がかなうものであると信じています。 |
|